小さなベランダにウッドデッキとゴーヤのグリーンカーテンを作った記録

2024.10.30

ベランピングに憧れがあった。今住んでいるところのベランダは狭く、室外機の横にコンポストの木箱を置いたら敷地の片側が埋まった。

コンポストの土からは生ごみの種や風に運ばれた雑草の芽が生える。それらを引き抜いて、麻袋に分けていた土に意味もなく植える。殺風景なベランダを慰めていたのかもしれない。幾日か後に麻袋の中に大きく成長している葉っぱを見つけた。そういえばこの間、冷蔵庫のじゃがいもに芽が出ていたから、周りを厚めに抉ってコンポストに入れたっけな。さらに一ヶ月後、収穫ならば早い時期だけど中が気になって掘り返してみたら、ちゃんと小さな芋がついていた。

せっかくコンポストの堆肥があるのだし、ベランダで野菜やハーブを育てたいなあ。
イグアナのガラちんが年齢的なこともあって、最近はお部屋探索もしないでメリハリのない一日を過ごしていることが多いし、ウッドデッキも作ってそこで日光浴させられたら良いな。ガラちんは怖がりだから、ゴーヤのグリーンカーテンで覆われていたら落ち着けるかも。そう考えてベランダ改造に取り掛かった。

ウッドデッキDIY

ウッドデッキの作り方は下記のサイトの紹介が非常に分かりやすく、ほぼこの通りに作りました。基本の作り方は参考サイトのままなので割愛。

賃貸DIY・高さ調整可能!6ステップで簡単ベランダウッドデッキの作り方 | モクの村
https://mokuvillage.com/verandah-wooddeck-how-to/

使った材料と費用

ツーバイフォー材
8フィート(2438mm)
6,146円
7本×878円
防カビ・防腐・防虫塗料
アトムハウスペイント
水性ウッドエバープロテクト
2,280円
0.7L缶
根太受け金具
万協フロア NUP-125
4,200円
12個×350円
コーススレッドビス・床貼り用
半ねじ・太さΦ4.2mm×長さ75mm
796円
100本入り
コーススレッドビス・根太用
全ねじ・太さΦ3.8mm×長さ41mm
398円
130本入り

参考までに。上記の合計で13,820円
・木材が高い時期だった。通常ならツーバイフォーは上記の6割くらいの価格で買えるイメージ。
・ホームセンターにてカットもお願いした。サービス料金550円(55円×10ヶ所)は上記に含まず。
・根太受け金具はロイヤルホームセンターの公式通販で購入できた。送料は含まず。

プランターを囲む工夫

参考サイトでは窓に対して平行に床材が並ぶウッドデッキを作っているけど、私は垂直方向に。
床材の長さが違う二つのウッドデッキを並べて、ゴーヤプランターの周りがくり抜かれて見えるようにした。

右手の2本だけ長い床材は、ベランダの手すりの縁も根太として利用している。

排水溝の目隠し

ベランダ左手隅に排水溝と雨どいがあり、ここをメンテナンス性を保ちつつ見た目良くしたいと悩んで、ラティス風の目隠しを作った。内側にすのこを渡してプランターを置いたらぐらつかず安定しているし、簡単に取り外して掃除できる。

手すりの目隠し用に塗装したすだれを

近隣からの目隠しと、奥のハーブプランターに直射日光を当てないため、葦のすだれを白く塗装してバルコニーシェードのようなイメージで手すりに巻いた。夏なら100円ショップなどでも様々なサイズが手に入るオーソドックスな天津すだれ。白ペンキ(ウッドデッキを塗ったようなステイン系では葦が水を弾いて塗れないため、皮膜を作るタイプの、いわゆるペンキ)を水でシャバシャバに薄めると隙間も塗りやすい。けど、黒い紐が目立たなくなるまでには3回くらい塗り重ねなければならなかった。すだれは天然素材で好きなんだけど、白とか茶色い紐で編まれてる製品があれば苦労しなかったかな? 涼しげで良いね。

グリーンカーテン作り

プランターに悩んで麻袋で代用

ゴーヤに必要なプランターは「深さ・奥行き30cm程度、幅70cm程度に一株が目安」とされていて、なかなかに大きい。ゴーヤを育て終わった後の収納場所はなく、次に何を植えるかの見通しも立たないので、なかなかプランターを決められないでいたところ、麻袋を加工することを思いついた。

ドンゴロス(麻袋)、ホームセンターで1枚498円、2枚購入。

麻袋そのままだと早いうちに破れそうだったので、袋の口を麻紐で縫い合わせて閉じたうえで内側に入れ込み、半分サイズで二枚重ねになるようにした。底面が四角くなるように耳を畳んで縫い、箱型に。
麻紐で縫うのにはニット用の縫い針が使えた。

市販品では、畳めて処分しやすいタイプのうち、大きくて四角いものでは不織布などのプラスチックでできたものしか見つけられなかった。この麻袋ならマイクロプラスチックの流出源にならないし、処分前提ではあるけど、頑張ったらコンポストにできるかな。

輪っかにした針金を巻き込んで口を捲り、高さを調整しつつ四角い形を作っている。ただし入り込める隙間があると害虫の棲家になりそうなので、捲ったところも縫い合わせるか、定期的に広げて乾かすのが良さそう。

麻自体は傷んでいくし、それは生分解性の証でもあるので仕方ないけど、木酢液を希釈したものを麻袋表面にかけるようにしたら心なしかカビの進行が緩やかになった気がする。

私は特に問題は起こらなかったけど、麻袋は通気性・排水性が良いので、植物によって相性はあるかも。水をたくさん欲するゴーヤでは、水切れ防止のタンクが底面についたプランターもおすすめされている。
水切れの心配とは別に、コンポストで使っている水捌けの悪い土をそのままゴーヤ栽培に使った。これも家庭園芸レベルでは問題なかったと思う。

黒土のみを使う「キエーロ」と呼ばれる方式でコンポストをしている。黒土を園芸に用いる場合は一般的に根腐れ防止や酸度の調整のため、赤玉土や鹿沼土などをブレンドすると思うけど、何も混ぜなければ育て終えた後コンポストに戻しやすいので…(分解されるヤシガラくらいなら入れてもよかったかもしれない)。

使わなくなった戸棚収納用のラックに載せて水が溜まらないように浮かせ、ウッドデッキの陰に潜りこませた。
過酷な猛暑だったので、ヤシの実のファイバーでマルチングも施した。

洗濯物干し竿の竿受けを延長してネットを設置

建物の外壁に物干し竿を掛けるための竿受けが付いていて、「サオ・アップ」というアームのような商品を使ってこれを延長した。本来は斜めに取り付けて物干し竿の高さを上げるための商品だけど、水平に取り付ければ奥行きが増え、物干し竿の向こう側、敷地内ギリギリのところにも竿を掛けられるようになった。
園芸用支柱は後で邪魔になりそうなので突っ張り棒で代用し、ここにゴーヤのためのネットを張った。ナチュラルな麻製のネット。

垂直なネットはスカスカグリーンカーテンの原因に…

ただ、ネットを垂直に張ってしまったせいで、茂り方にムラができてしまった。傾斜があればゴーヤはツルを蛇行させながら登っていったのだと思う。うちのは、ネットから逸れた空中でツルを高く伸ばしては、風で押し戻されてネットに張り付く…を繰り返し、最短距離で登頂されてしまった。摘心(枝数を増やすために切り戻すこと)をしても脇芽はそれより上に出るから、下がスカスカなのはどうにもしづらい…。その上、ツルや葉が茂ってつかまりやすくなったところに次のツルもつかまろうとして密度が偏る。反省点でした。

ゴーヤ栽培記録

・5月25日に苗から植える。「トキタ種苗 にがにがくん」「デルモンテ スーパーゴーヤ」一株ずつ。ホームセンター園芸コーナーで各450円くらい。

・元肥はやらなかったけど元気で最初の方の葉っぱがめちゃでかかった。6月中頃から二週間に一度くらい液肥をやる。

・6月中頃まであまり変化がなかったが、中旬に雨が増えたあたりから急速にツルが広がる。雌花もたくさんついている。実よりもグリーンカーテンを成長させてほしいので摘んでおく。

・6月末に雌花が膨らんでいるのを発見。その後もすごい速度で実がなっていくので手出しするのを諦めた。

・人工授粉は一度も必要なかった。最初働いてくれてたのはアブのようなのかな。カメムシ、芋虫(蛾の幼虫かな)、エビグモ?、ニジュウヤホシテントウ(テントウムシダマシ)、カマキリ…と、害虫に捕食者が集い気づいたらムシムシパラダイスになってた。緑が多い場所ではあるけど都心でこんなに虫が集まるとはびっくり。

・7月中旬に初収穫。成熟したタイミングを待ったら一本300〜350gくらいになって、同時期スーパーに並んでいたゴーヤより二回り程大きくてお得な気持ちになった。後から知ったが株が疲れないように初夏は特に若採りしていったほうがいいみたい。農家さんはそうしているんだな。

・沢山実がなってカメムシパラダイスにもなってきて、卵を産んだりしたら近隣迷惑…と思って7月下旬頃から木酢液を希釈したのを忌避剤として散布するようになったらお気に入りのカマキリ先生までみんな去っていった…。

・盛夏は涼しい早朝と夕方に2回水やりするのが推奨なのだけど、夜型人間なので夕方6時と深夜0時を回ってからの寝る前の時間に水やりしていた。日中に葉が萎れたり縮んでいる葉っぱがあって一回の水の量が全然足りていなかったことに気づいた。それからは一株に対して3.5リットルを1日2回与えた。

・8月中旬に下の葉っぱが黄色くなってきたので、肥料不足だと思ったけど(控えめに与えていたし、給水量も多くて麻袋だし流れ出る分も多いんだと思う)病気の可能性もありそうなので少しでも怪しい葉っぱは潔く摘んでコンポストにした。液肥(チッソ6:リン酸6:カリ7)を週一に増やした。マグネシウム不足だと下の葉っぱが黄色くなるらしく、対策にカーメン君のYouTubeで苦土石灰の使い方を学んだが、より身近で使い切れる量のマグネシウムを探してにがりを手にし、1000倍に希釈して週一で与えた。あと貝殻由来のチョークがなんと家にあったので、カルシウム補給のため水に溶かして与えた。

・下の葉っぱを摘んだことが摘芯の役割をしてしまったようで、もう9月だというのに上の方のツルが元気になって葉っぱがわさわさ、実もまたたくさん付いてきた。気温が下がったかと思いきや残暑が盛り返したりで、プランターを片付けるタイミングがわからない。中腹部で密集している葉っぱにも黄色くなるものがあり、べと病に見えなくもないので、綺麗なところ以外は大きく摘みとって徐々にコンポストにしながら片付けていくことにする。

・10月に入ったら毎朝蝶々を見かける。アゲハ蝶も常連だけど早すぎて写真に収められない。ぴゅーっと遠くの屋根を越えて去っていく姿は妖精にも見えてくる。

・現在10月下旬、いよいよ片付けようと思うので小さく成っていた実たちも収穫。おつかれさまでした。

ゴーヤはこうして消費していました

・卵は使わず木綿豆腐でゴーヤチャンプルー。卵っぽさを出したいなら硫黄の匂いがするブラックソルトと色付けにターメリックを加える。
・薄切りにしたあと塩揉みして置いておき水気を絞る。オリーブオイル&塩味&酸味で和えてピクルスに。サラダのトッピングで食べる。塩味と酸味は塩とリンゴ酢や、塩麹とレモン汁や、梅酢など、気分で。
・同じく薄切りして塩揉みか、レンチンとかで軽く茹でても。水気を絞ってからごま油&醤油&ニンニクすり下ろしで和えてナムル

熟れて赤くなった種(『凪のお暇』で“ラッキーゴーヤ”って呼んでたね)は豆乳ヨーグルトに乗せてオリーブオイルとハーブソルトをかけて食べたり。ほんのり甘い。

ワタと種を多めの油で揚げ焼きするとおつまみになる。見た目と食感的に魚の内臓系の珍味?香ばしい。種は4分の1くらいに切っておくと食べやすい。捨てるところがない。

ゴーヤ酒にもしてみました。三ヶ月後くらいから急にまろやかな深い味わいになった。


毎朝ゴーヤの変化を見るのが楽しかったし、在宅仕事しながら緑が目に入って気分が良かった。ベランダは、以前は室内の床より30cmくらい低かったのがウッドデッキのおかげで床が高くなり、洗濯物を干したりが楽になった。ガラちんもベランダに出してもらうのを催促しているような時すらあって、気に入ってくれたみたい。作って良かった。空いたところに次は何を植えようかな。